■ジャック・カロ-リアリズムと奇想の劇場-  ■非日常からの呼び声-平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品-  ■公募団体ベストセレクション美術2014

国立西洋美術館、2014.4.8-6.15
カロはいつも数点しか見たことがない。 副題にもあるように<奇想>を持った人と認識していた。 しかし奇想は彼ではなく周囲の人々だとこの展示をみてわかった。
もちろん彼の感性は鋭い。 あの腿や脹脛、上腕の躍動感溢れる筋肉の刀使いは素晴らしい。 まさに役者を描いているのだ。 彼は現代で言う演出家だろう。 奇想を持った役者を舞台に上らせて真のリアリズム演劇を版画という劇場で上演しているのだ。
非日常からの呼び声-平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品-、20164.4.8-6.15http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2014hirano.html
平野啓一郎の作品は残念ながら読んでいない。 小説家らしい。 このためか会場にある解説文は面白い。
たとえば死とエロティズムの違いは「エロティズムは反復性だが死は一回性である」。 妄想が幻視と違うのは「時間を重ねて膨らんでいくもの・・」。 死は「他者の死をみて納得していくしかない」、そして「近い他者の死と、見知らぬ他者の死は違う」。
タイトルにもなっているが芸術作品とは「日常から連れだしてくれる呼び声である」。 解説に合わせて平易な作品を選んでいる。 というより解説が上手なので作品もわかり易いと騙されているのかもしれない。 グリコ(=カロ)のオマケのような展示会である。
公募団体ベストセレクション美術2014
■東京都美術館、2014.5.4-27
・・時間が余ったので都美に寄り道した。 27美術団体のイチオシ163点が展示されている。 しかし疲れる。 前回の光風会(*1)の1000点より楽だが。 作品の質も良い。 イチオシだからだろう。
絵画より彫刻が気に入った。 なぜなら地下ギャラリーの彫刻室に入ると疲れが吹っ飛んだからである。 版画もあったが絵画より新鮮な感じだ。 ということで今日はここまで。