■アンリ・カルティエ=ブレッソン-瞬間の記憶-

■監督:H・ビューラ,出演:H・C=ブレッソン,I・ユベール,A・ミラー
■(スイス・フランス合作,2003年作)
■ブレッソン本人が写真を手に取って言葉を付け足していくドキュメンタリーである。 「瞬間の芸術である」「配列と構図が重要である」「方針も規則も無い」。 作品の核心を突く言葉が続く。 そして彼は絵画にも接近する。 「写真は短刀の一刺し、絵画は瞑想である」。
彼を知る写真家たちが時々コメントする。 イザベル・ユベールも顔を出すが写真を見る感性は素晴らしい。 「シャッターを本能的に押している。 そして見事な構図である」「言葉を語り終えた瞬間である」。 女優らしさが出ている。
アーサー・ミラーがマリリン・モンローの表情を深読みするシーンは面白い。 又ブレッソンが撮った華やかさの裏側にあるアメリカの暗さが、レーガン時代では直視できなくなるほど悲惨になってしまったことを語る場面は作家の面目を保っている。 最後にブレッソンは言う。 「写真は死なない」。