■インヴィジブル・メモリーズ

■原美術館,2011.9.10-12.11
■4人の作品が展示されているが小泉明郎のヴィデオアートの2作品が印象に残った。 「若き侍の肖像」は主人公が特攻隊員として出撃する話。 感情移入させようと監督が役者にイチャモンを付けるのだが次第に役者もその気になっていく・・ 
「ビジョンの崩壊」は沖縄の特攻隊員とその妻の会話である。 表裏別々の映像が流れている。 表画面では夫婦が食事中で顔のアップしか映らない。 「戦争が終わったら二人で温泉にでも行こう・・」・・
裏の画面では卓袱台まで映される。 箸や茶碗の動作がぎこちないし、お酌もこぼしてしまう。 なんと夫婦は二人とも盲目であった! そして全速力で敵艦に向かう戦闘機内の夫の場面へと続いていく・・
どちらも10分程度の作品だが、国家観や天皇制の議論が抜けている。 だから醒めた感動があるのかもしれない。 もしこれを入れたら美術館で展示されたのか怪しい。 ヴィデオアートは底なしである。
*館サイト、https://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/exhibition/336/