■江成常夫写真展

■東京都写真美術館、2011.7.23-9.25
http://syabi.com/upload/3/1382/2011_005_b_2.pdf
■撮影時期はもちろん色彩力も解像力も時代の今として展示されている。 1945年からいかに遠くに行けるか。 そして再び戻ったときに生じる時間のズレが目眩として観る者にそっと押し寄せてくる作品群だ。
澄み切った海に沈んでいるゼロ戦、静寂なジャングルの中の陸軍重爆撃機呑龍、日米白兵戦で血に染まったススペビーチの光り輝く海と紺碧の空。 古代の遺跡をみているような美しい光景だがしかし、あの目眩が微かにやってくる。
後半の「ヒロシマ」、「ナガサキ」はポートレイトが多い。 とても穏やかな顔顔だ。 65年の時間を別のなにかに変えてしまったようにおもえる。 だから観ていても目眩はおきない。 しかし別のなにかはよくわからないが、それを感じる。
風景の中には65年前の時間が凍り付いているが人物像では時間が溶け出してしまっていた。 生物が持っている定めである。