■伊庭靖子展、まなざしのあわい

■東京都美術館.ギャラリー,2019.7.20-10.9
■作品名に作成年が付いているから作家の思考過程が分かります。 例えば、「Untitled2004-01」から始まる。 クッションの柄を見ていると、何とも言えない心地よさを感じます。 対象が平面に近いほどそれを感じる。 ベッドのような立体部分にはそれが現れない。 つまり平面が膨らんでいく過程が心地よいのです。
青い陶磁器に移ると心地よさは見えなくなる。 陳列順序を器シリーズから始めたほうが入り易かった? 途中、花瓶を描いた作品があったようですが気に入りました。
そして物の光や影を投射しているような風景画に移っていく。 解説チラシを読むと透明なアクリルボックスを利用しているらしい。 「Untitled2016-03」からです。 変な言い方ですが、風景空間が活き活きしています。
次の点描風景画は物足りない感じがします。 何か仕掛けでもあるのかもしれない? ・・目の距離調整を試したが何もなかった。 
戻りますが、アクリルボックスの「Untitled2018-xx」に入るとカーテンを取り込んで空間を複雑にしている。 これも物足りない。 活き活きしていた風景がなくなってしまった。 作者はフォトリアリズムを否定していますが、それを意識してリアリズムの面白さを避けてしまったのではないでしょうか?
*館サイト、https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_yasukoiba.html