■藤本能道、生命を描いた陶芸家

■菊池寛実記念智美術館,2019.8.3-12.1
■藤本能道は大学で工芸図案を専攻したがどうしても「自分の手で作りたい!」。 それで陶芸へ進んだらしい。 初期作品には富本憲吉の影響がみえる。 戦後は富本の紹介で京都に住み走泥社にも参加している。
1970年代から草花や鳥など白磁に描くようになる。 それは自然豊かな青梅市に居を構えたことにもよる。 水彩画のようなサッパリした質感で極めて写実的だ。 後半になると暈しのような複雑な色合いを出してくる。 釉描加彩と言う。 彼はこれで抽象画へ進めると喜んだらしい。 抽象と言ってもそれは幻想的な作品だ。 絵画でいう抽象は陶器にとっては違う意味を持つ。 どこか近藤弘明の幻想画を思い出させてくれる。 80年代以降は梅白釉(梅灰)、雪白釉、霜白釉(バリウム?)など淡くより微妙になる。
1976年の「幻の食器」が展示されていた。 この時の食器はまだ草木が主だからよいが昆虫などが描かれていると料理の味が違ってしまうと思う。 話がそれるが両生類の写実絵皿を以前に見たことがあるがこれは頂けない。 写実陶器は使い難い。 やはり絵画と同じ位置づけで観たいところだ。
*藤本能道生誕100年
*館サイト、https://www.musee-tomo.or.jp/exhibition/past_exhibition.html