■野蛮と洗練、加守田章二の陶芸

■菊池寛実記念.智美術館,2019.4.13-7.21
■加守田が関西を出て栃木で作陶に入ったのは何故か? 就職先が日立の関連会社だったからである。 次の遠野へ陶房を移した理由はよく分からない。 遠野の土は粗いと彼は言っている。 ザラザラツブツブ感がある。 野蛮とは土の感触を言っているのだろう。 ザラザラ野蛮と言ってよい。 会場最後の室に曲線彫文の壺や皿が並べてある。 それは手びねりで成形し竹べらで文様を彫っていく。 洗練とは言い難い線だが土と比較するとジワジワと納得してくる。 ジワジワ洗練と名付けたい。 彼の言葉「外見は陶器の形をしているが中身は別のもの・・」が最初理解できなかった。 あるキャプションに「口先が鋭いため壺の役目をしていない・・」とあったのでガッテン。 しかし紙のように薄くなっていく口先は縄文土器の模様より始末が悪い。 また採色された作品はどれも凡庸にみえ野蛮も洗練も無い。 「造形、文様、質感の関係性を追求」した成果のすべては曲線彫文壺に現れている。 ザラザラ野蛮ジワジワ洗練曲線彫文は宇宙人の鎧のようだ。 神経質なプレデターが喜びそうな造形だ。
*館サイト、http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html