■ウィーン・モダンークリムト、シーレ世紀末への道ー

■国立新美術館,2019.4.24-8.5
■都美術館の「クリムト展」は観ていない。 こちら新美術館は世紀末ウィーンの全体像を描きたいらしい。 作品リストをみると面白い構成になっている。 4つの章の下に18の節、特に4章は6節あり、その下が幾つもの項目に分かれている。 このような詳細な構成は珍しい。 章・節・項を意識しながら見ていくと全体像が浮き出てくるという仕組みのようだ。
先ずはマリア・テレジアの息子ヨーゼフ2世が進めた改革を序章としている。 次の2章はビーダーマイアーの時代だ。 二月革命の影響も少しはみえるがシューベルトに絡めた都市生活と食器や家具などを並べて小市民的生活を押し出している。 そして世紀末の3章はリンク通りを俯瞰しながら建築や万国博覧会を語っている。 ここでは建築家オットー・ヴァーグナーが中心だ。 ウィーンへ行った時にリンク通りの路面電車を乗り降りしながら歩き回った記憶が甦った。 後半の4章はウィーン分離派の作品が構造的に展示されている。 そしてエゴン・シーレやオスカー・ココシュカでまとめ幕が下りる。
絵画、音楽、工芸、建築を巧くまとめているが、ウィーンはすっかりご無沙汰しているのでリズムに乗れない。 世紀末の表層をなぞっただけの観後感だ。 ウィーンにどっぷり浸かっている観客には一つ一つの作品が生き生きとみえたことだろう。 このような企画は世紀末都市と観客身体が祝祭的に一つにならなければ面白くない。
*日本・オーストリア外交樹立150周年記念展
*館サイト、http://www.nact.jp/exhibition_special/2019/wienmodern2019/