■国吉康雄展、少女よお前の命のために走れ

■そごう美術館,2016.6.3-7.10
■国吉康雄は時々目にするが個展は十数年ぶりかもしれない*1。 スミソニアン・アメリカン・アートミュージアムでの2015年展示会と「国吉康雄プロジェクト」*2の協力を受けた展示会のようだ。 20世紀前半の彼が活動した時代を取り込んでの全体像が語られている。
米国で転々と生活しながらリーグ美術学校に行着き良き師や友人に出会えたのは彼の天性だろう。 ニューヨーク・デビュー前後の作品はセザンヌなどの影響の為か特徴ある存在感が漂っている。 以降デフォルメ化されていく。 彼はユニオン・スクエアが見えるアパートに住んでいたらしい。 パスキンとの交流は初めて知る。 彼とパリにも行っている。 そういえば人物表情の中にパスキンらしさもどこか感じられる。 そして戦時中の明るいが冷たい作品群はそのままの彼の心象だろう。 この展示会副題の詩のようなタイトルは彼の多文化主義の一つの解かもしれない。 1948年全米画家トップ10にベン・シャーンやジョージ・グロスと伴に彼が名を連ねているルックの誌面は象徴的だ。
会場での映像作品、「岡山大学の子供美術鑑賞」「国吉作品の修復作業」「スミソニアン美術館担当員の話」「リーグ美術学校時代の学生の話」はどれも楽しめた。
*1、「国吉康雄展」(2004年)、http://archive.momat.go.jp/Honkan/Kuniyoshi/index.html
*2、「国吉康雄プロジェクト」、http://www.yasuo-kuniyoshi-pj.com/
*館サイト、https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/16/kuniyoshi/index.html