■陸軍登戸研究所

■監督:楠山忠之
■ユーロスペース,2015.8.8-14
■関係者のインタビューで構成されているの。 登場者の多くは工員や女学生のように周辺にいた人達だから3時間もの長さになってしまった。 でも、この冗長ある話を積み重ねていくと戦争の核心に迫っていける。
主に風船爆弾と偽札を話題にした内容よ。 前者の和紙や蒟蒻糊を材料として女学生が製造し千葉の海岸で米国本土へ飛ばす話が聞けたのは貴重だわ。 そして何故偽札を作るのか? 敵国の経済攪乱が目的だけど、日本軍の特長は前線兵士への物資供給ルートを持っていないの。 つまり兵士が戦地で必要物資や食料を購入するための偽札だったのね。
そして南方、中国での「杉工作」や「松機関」、「南京1644部隊」や「中野学校」の話はゾクゾクする。 敗戦が濃くなると水浄化装置を作り皇室や軍隊上層部だけをかくまって米軍を細菌兵器で迎え撃つ計画もあったようね。 米軍もろとも日本国民も犠牲にして国家を存続させるのが戦争末期の実態だった。 5年前に「資料館」へ行ったけど、今回やっと時代との位置付けが見えてきた。 2014年作品。
*作品サイト、http://www.rikugun-noborito.com/