■牛島憲之展

■松濤美術館,2011.4.5-5.29
■初期の作品を初めて観る。 「芝居」(1927年)、「山の駅」(1935年)で彼が芝居と旅が趣味だったのがわかる。 「赤坂見付」(1940年)でスタイルが確定したと自身が言っているが、戦争が終わった1940年代後半が彼の絶頂期だとおもう。
「残夏」(1946年)は府中美術館に行くと時々みることができるが、これと同じ「炎昼」(1946年)と共に夏が好きでなければ描けない絵だ。 まだ車が少なかった頃の日本の夏のエッセンスが詰まっている。
1950年代からはヨーロッパの知識に侵され始めたようだ。 円錐、立方体、直線・・、対象への眼は冷静・知的になるが40年代の感性はもはやそこには無い。 70年代以降の「並木」シリーズは若い頃に戻ろうとしている想い出の作品だ。
牛島作品を年代順に観ることができてとても満足である。 ところでこの美術館は白井晟一作だと聞いたのでじっくり建物もみてきた。 独特な重厚さを感じる。 ただし周りの建物が密集していて全体を見渡せないのが残念である。