■板倉鼎・須美子展、よみがえる画家

■目黒区美術館,2017.4.8-6.4
■目黒川沿いの木々が輝いています。 この季節に未知の画家を観に行くのはウキウキしますね。
鼎はかなえと読むらしい。 根津美術館2階中国古代青銅室で見る字です。 鼎の作品はパリ留学の1926年前後で大きく変化する。 それまでは細かい線を重ねるようなルノワール風タッチで身近なテーマが多い。 どことなく主張が見えない。 でもパリ以降は違います。 静物画・人物画が多くなる。 影を付け立体感が増している。 彼の師匠ロジェ・ビシエールはジョルジュ・ブラックと親交があったらしい。 鼎にも間接的影響が見られる。 そして顔半分を右手で隠すような須美子らしき人物画は印象的です。 静物画に空虚感が漂っているのは周辺空間が余っているからでしょう。 金魚鉢の背景はそれが青空と白雲になっている。
須美子は日曜画家アンリ・ルソーを稚拙にしたような作品です。 彼女の人生でハワイの占める大きさがわかります。
鼎は28歳、須美子は25歳で亡くなっています。 当時の平均寿命が42歳です。 今の寿命を倍の84歳として換算すると鼎は56歳、須美子は50歳になります。 現代からみても若すぎる死が悔やまれます。
*館サイト、http://mmat.jp/exhibition/archives/ex170408