■小林裕児-1967~2015変化する様式、変わらない人間へのまなざし-

■多摩美術大学美術館,2015.5.30-6.21
■どこかで見ている作品だが小林裕児の名前は思い出せない。 1982年からテンペラを取り入れている。 先日観た川口起美雄の混合技法とは違うようだ。 素材質量の追及は無く乾いた感じである。 物語の断片として登場する人物も精神構造だけの描き方をしている。
会場は4室あるが別の作者のように画風が変わっていく。 副題の通りである。 変化できたのは良い意味での戦後から続くダラリとした時代の賜物であろう。 90年後半から演劇に興味を持ち始めたと書いてあった。 作品に欠けていた<身体>を発見したのかもしれない。 このためかスケルトンのような肉体は変わらないが、近作の人物像は生気が感じられる。 装丁も陳列されていたが肉付けをしない彼の作風は本の表紙に似合う。
*館サイト、http://www.tamabi.ac.jp/museum/exhibition/150530.htm