■だれも知らない建築のはなし-建築家に未来はあるか?-

■監督:石山友美,出演:磯崎新,安藤忠雄,伊藤豊雄,P・アイゼマン,C・ジェンクス,R・コールハース,中村敏男,二川由夫
■イメージフォーラム,2015.5.23-(2015年作品)
■丹下健三が退場し磯崎新が活躍しだした70年代後半に始まり、ポストモダンとコミッショナープロジェクトを中心に論じ、バブルが弾けた90年代から現在迄をカバーしている建築家批評のドキュメンタリー作品よ。
「建築家に未来はあるか?」を中庸に考えているのは伊藤豊雄かな? 磯崎新は歳だし、安藤忠雄は現実と理想に差を感じるの。 それは新国立競技場問題をみてもわかる。 外国建築家はハッキリしてるわ。 「磯崎はリーダーだったが安藤や伊藤はそうとは言えない」(アイゼマン)。 「日本人建築家はコミュニケーション、ヴィジョンを持っていない」(ジェンクス、コールハース)。 磯崎はコミッショナーとしての評価が高かったようね。 中堅家たちは小住宅から始めて公共建築の下積みが無かったのでこう言われるのかしら?
「その建物は注意を引かない主張しない、ただ正しい時間に正しい光が差し込む美しさがある」(コールハース)。 でもこれこそリーダ不在、つまりアーキテクト不在の建築風景よ。 コンピュータの影響も大きいはず。 「建築家は将来テクノクラート、エンジニア、アーティストのどれかになるしかない」(磯崎)。
P・グリーナウェイ「建築家の腹」(1987年作)を思い出したの。 登場する建築家が署名の下に「アーキテクト」と書くんだけど、監督はこの文字を殊更強調するの。 当時は法定資格名を越えて「アーキテクト」という言葉には大きな力が宿っていたのね。
*作品サイト、http://ia-document.com/