■大坂弘道展・正倉院から蘇った珠玉の木工芸

練馬区立美術館、2012.11.29-13.2.11
40歳代で正倉院宝物の調査・復元作業に入ると解説にあった。 それでどの作品もオリエントの匂いがするのか? 形・色は簡素で生真面目らしさが感じられる。
50代の作品は見応えがある。 形や文様はリズミカルを持ち色はコクを伴っている。 「唐草文嵌筆箱」(1994年作)は船底をひっくり返したような形で建築ドームか宇宙船のようだ。 不思議で面白いデザインである。
60代に入り宗教性を帯びてくる。 文様は細かくなり錫の灰色がより重たく感じる。 複雑さがでてきているが昇華できていない。王朝工芸のため見ていても現実感覚が無い。 だから宇宙船や空飛ぶ円盤などを想像してしまう。 「黒柿蘇芳染唐草文嵌装飾箱」(2003年作)はまさにノアの箱舟である。