■ロン・ミュエク

■作家:ロン・ミュエク
■森美術館,2026.4.29-9.23
■入館して知ったのだが、ロン・ミュエクはプラスチック素材などを成型加工して作品を創り出す、いわゆる ミクストメディア を得意とする作家らしい。 人物や動物を驚くほど正確かつ精密に仕上げており、まずその技術力に目を奪われる。
なかでも、拡大された人物像は圧倒的な迫力を放つ。 近づくほどに生々しさが増し、こちらとの距離が揺らぎ始める。 親密さが立ち上がる一方で、どこか遠ざけたい気分にもなる。 まるで生身の他者と向き合うときのように、心理的距離が一定に保てない。
しかし、その身体的リアリティとは裏腹に、作品から芸術的な感動が湧き上がってこない。 骸骨の墓場である 「マス」、男の顔を象った「マスク」、暗闇に沈む「ダーク・プレイス」も同様で、どこかテーマパークで<面白いものを見た>という感覚に近い。
作品ごとの解説を読むと、そのテーマパーク的な驚きから、観客を美術館的な感動へと連れ戻そうとしているように思えた。 しかし近年は、美術館とテーマパークの境界そのものが低くなっているのではないか。 非日常体験を提供するという点では両者はすでに地続きであり、その両方を見据えて制作しているのが、まさにロン・ミュエクなのかもしれない。