■ハマスホイとデンマーク絵画  ■第68回東京藝術大学卒業・修了作品展

■東京都美術館,2020.1.21-3.26
□ハマスホイとデンマーク絵画
■デンマーク絵画の黄金期を初めて知ったの。 それは19世紀前半よ。 知らない画家たちの風景画はなるほど心地よい。 「ほっこり幸せな雰囲気をあらわすデンマークの言葉hygge(ヒュゲ)」のある日常礼賛の世界を描いている。 ヒュゲを掲げる絵が黄金期と称するところが凄いわね。 さすが世界幸福度ランキング上位の国は違う!
でも19世紀中頃にナショナリズムが湧き起こるの。 漁師たちを英雄的に描く風景画が増える。 スケーイン派よ。 スケーイン地方はフランス印象派のノルマンディのような位置づけにみえる。
そして19世紀末、愛国主義調「シャロデンボー春季展」に対抗する「独立展」が開催されヨーロッパの流れに乗りながらヒュゲに親密さが加わる室内画へ進む流れかな。
会場はここからハマスホイ。 1890年代の彼の作品は助走段階にみえる。 2階へ上がり1900年代に入った途端、作品の様変わりに圧倒! 10枚以上ある風景画に感嘆! 親密さのある自然とはこういうことだったのね。 そして室内画へ。 「室内」「背を向けた若い女性のいる室内」などを堪能! 人物はやはり後ろ姿がいいわね。 最後の「カード・テーブルと鉢植えのある室内」が素晴らしい。 無機質と言うより昇華した親密さが出ている。 ・・文句のない展示だったわよ。
*館サイト、https://www.tobikan.jp/exhibition/2019_hammershoi.html
*wikiではハンマースホイと書いている
□第68回東京藝術大学卒業・修了作品展
■ハマスホイ会場からチラッと見えたので入る。 会場入口から日本画、建築、デザイン、表現、油絵、ギャラリーでの彫刻、工芸と続く。 下町商店街の縁日ような雰囲気だわ。 ごった煮のような内容と量に圧倒される。 大学構内でも展示しているらしい。 7学科もあるなんて知らなかった。 建築科のシラバスには(調べると)構造材料演習もある。 まるで工学部ね。 演習科目をみれば学科が何を求めているのか分かるのよ。 会場を一回りしたら脳ミソがオーバーフローしてしまい学内展示は無理。 でも作品全体の出来具合から学生たちの素顔も見えてきた。 混沌の卒業作品でハマスホイを忘れそう。
*大学サイト、https://diploma-works.geidai.ac.jp/