■ヒトラーVS.ピカソ、奪われた名画のゆくえ

■監督:クラウディオ.ポリ
■(伊仏独合作,2018年作品)
■ナチスが略奪した美術品は60万点もあり10万点が現在も行方不明です。 今でも発見が相次いでいる。 法廷闘争も続いているが所有者の奪還は困難を極めているらしい。 当時は「・・強制収容所から戻った所有者に聞くこともできない」し、今では所有者だったことを証明するのが難しくなっているからです。
A・ヒトラーとH・ゲーリングが競って美術品を略奪する場面が多く映し出される。 特にゲーリングが中心人物のようです。 二人の周囲には多くの美術史家、画商や批評家が取り巻いていた。 その芸術は「ナチスの威厳と美、アーリア人の純粋と幸福をもたらす」しかし「危険のため統制する必要もある」。 この相反する言葉に「大ドイツ芸術展」と「頽廃芸術展」の二つの展示会が対応していたことは言うまでもない。
当時のフィルムで構成されているので迫力があります。 有名な作品が幾つも登場しますが戦禍で消滅する危機にあったことを再認識しました。 それは形を変えて今も続いている。 「芸術家は敏感な政治家であるべきだ。 悲劇に無関心でいてはならない」。 ゲシュタポと向かい合ったピカソの言葉でドキュメンタリーは終わる。 プロパガンダを作らないことが芸術家の一つの条件かもしれない、ピカソのように。
*映画comサイト、https://eiga.com/movie/90453/