■青木野枝、霧と鉄と山と

■府中美術館,2019.12.14-2020.3.1
■空間を内に取り込み、外に溶け込んでいるから鉄の重さを感じさせない。 「作品のほとんどが展示場所に合わせて作られる・・」。 室内版ランドスケープとして効果が出ているのね。
気になった作品は「untitled」(1981年)。 鉄棒は太くなく細くなく絶妙な径で大きさも人に近いし尖っていて弛緩と緊張を同時に感じてしまう。 「原形質」(2012年)を間に置いて遠くに眺めるのも味があるわね。 他の作品が丸みがかっているから余計に目立つ。 作者も当時は尖がっていたのかしら? 
設計図であるスケッチブックを見ると活き活きしていて動きがある。 現実は鉄の重さや溶接の生々しさから逃げられない。 しかも下町工場の溶接工のような肉体の記憶も作成過程で付着してしまう。 でも置かれた空間の中でみると、それらを跳ね除けて立ち現れるところが清々しい。
*館サイト、https://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/noeaoki_kiritotetsutoyamato.html