■太田喜二郎と藤井厚二、日本の光を追い求めた画家と建築家

■目黒区美術館,2019.7.13-9.8
■画家と建築家は、同じ大学の職員だったことと趣味が同じ茶事だったことで知り合ったらしい。 この平凡な出会いからみても二人の名前を知らなかった理由がわかる。
しかし結構面白くみることができた。 太田のベルギー留学時代の光濃い印象派風作品は若々しい重さが感じられる。 彼は自邸を藤井に設計を任せている。 二人の日常がジワッと会場に感じる。 藤井の建築が住宅に特化している為もある。
藤井の作品は少し毛並みの良いどこにでもある日本建築のようだ。 外観は大したことはない。 中身は和洋折衷で凝っているがサッパリもしている。 平面図をじっくり眺めながら想像で部屋を歩き回る。 そして写真や模型をみてイメージを完成させる。 着物を日常としている空間感覚が今とはズレている。 間取りも今とは違い当時の生活がみえてくる。 「旧藤井厚二自邸」「石崎庚作邸」「喜多源逸邸」「小川邸」の4点の展示だがどれも似ている。 「大阪朝日新聞社」等も設計しているが、「その国の建築を代表するのは住宅である」。 彼の住宅への拘りがみえる。
建築からみた太田のアトリエは平凡だ。 彼は帰国後点描画を捨てたらしい。 後期作品では「鶏」(1935年)が気に入ったがインパクトは留学時代より薄くなっている。 アトリエの印象と同じだ。
絵画と住宅を一緒にするとやはり後者の印象が強い。 住宅は身体を総動員する為だろう。
*館サイト、https://mmat.jp/exhibition/archive/2019/20190713-64.html