■マリアノ・フォルチュニ、織りなすデザイン展

■三菱一号館美術館,2019.7.6-10.6
■面白い展示構成ね。 フォルチュニの服飾デザイナーとしての作品「デルフォス」を室中央に置き、壁には絵画・版画・テキスタイル・写真など平面作品で埋め尽している。 どの室も同構成だから次室へ入ると先ずは「デルフォス」を堪能してから壁作品をみる。
しかも彼のデザインは「世紀を超えて」いるから飽きない。 それは両親からの良き資産を受け継ぎ、ギリシャ美術を上手く翻訳し、異国への興味を失わなかったからよ。 日本への関心も。 天然染料に拘ったのも色彩の良さと深さに通ずる。
初めて知ったことは2点。 それは彼が写真に凝っていたこと、そしてワーグナーに陶酔していたこと。 フォルチュニが持っていた興味と才能の全てがワーグナーが言っている総合芸術へ向かわせたのね。 「演技・衣装・音楽・照明・装置の間に湧き起こる共感覚を実現する為に・・」。 衣装は言うまでもないが、特に装置「クーポラ」を作り遠隔操作にした照明技術は凄い。 舞台上の昼の明るさから夜の暗さまで間接分散光で調整できるようになったからよ。
バイロイト劇場での指環や「パルジファル」「トリスタン」「こうもり」そして「ヴェニスの商人」「オセロ」などの舞台資料をみていると彼はプロデューサー寄りの芸術監督にみえる。 彼はレオナルドやミケランジェロ、アルチンボルドやルーベンスに近い活動家なの。 また一人、興味ある総合芸術家を見つけた! 彼らの展示会ほど面白いものはない。 それは色々な物事が結びつけられて想像力が膨らむから。
場内映像は3本。 1本は館サイトでも見ることができる「フォルチュニ美術館」、それと「リュミエール劇場」「ヴァレンティノ2016年春夏コレ.」。
*館サイト、https://mimt.jp/fortuny/