■ムンク展ー共鳴する魂の叫びー

■東京都美術館,2018.10.27-2019.1.20
■会場の混みようは想定外だ。 中高生らしき団体も来ている。 ムンクが何故人気なのか? 家族・愛・死をあからさまに描くからだろう。 中高生にも直観で分かる。
「私の芸術は自己告白である」。 ムンクは自撮りの元祖らしい。 セルフポートをこんなにも見たのは初めてである。 彼の端正な顔立ちと自信に溢れている2章の「自画像」(1882年)をみれば納得。 しかも後半7章の「赤い背景の自画像」(1906年)が1882年と全く変わっていないのに驚く。 精神は益々盛んだ。
版画を始めたのは生計を助ける為だったらしい。 プレス機も所有している。 彼は愛をとるか絵画をとるか?で揉めたようだがカネ回りは作品に影響を与えているのがみえる。
今回はムンクの新しいことを沢山得ることができた。 写真や映画への接近、版画と生計、そしてニーチェへの共感などなど。 以前のムンク展は精神の病が前面にでていたが今回はそれを感じさせない。 ミュージアムショップをみてもわかる。 湖池屋の「ムーチョの叫び」やムンク美術館の「叫びのジャム」、「ポケモンの叫び」や「叫ぶ空気人形」等々をみると、「叫び」(1910年?)が聞こえたという受け身から社会に向かって叫んでいる姿に代わってしまっている。 自画像と同じように自信に満ちた不安な叫びとして・・。
*館サイト、https://www.tobikan.jp/exhibition/2018_munch.html