■小瀬村真美:幻画~像の表皮

■原美術館,2018.6.16-9.2
■暑い中、御殿山を登るのは大変だ。 その延長で作品を前にしたので最初は面食らってしまった。 写真のようだ。 それも暑さとはほど遠い。 じっくりみると動いている・・! 解説を読むと結構手が込んでいるようだ。 絵画と写真と映像を混ぜ合わせたような作品と言ってよい。
「氏の肖像」(2004年)は目が時々動くので集中力がいる。 作品をみる安心感が遠ざかる。 落ち着いて観ることができないのだ。 「Pendulum」(2016年)のように動きのある映像だと安心できる。 でも何が起こるか予想がつかないのでやはり落ち着かない。 作者の予測不可能性、曖昧さとは違う低次元な鑑賞しかできなかった。
ところで先日DPM(ダイナミック・プロジェクション・マッピング)の実験をみたのだが人体と映像が完全一体化しているのを目にして驚いてしまった。 超高速度撮影や超高解像度映像(8K)などを含め映像進化は目覚ましい。
今回の作品は手作業での時空の圧縮化、断片化などをおこない極めて芸術的だが感動がやってこない。 映像的感動とはどういうものなのだろうか? まだ驚くことしか知らない。 映画的感動を得るのにも多くの積み重ねが必要だった。 作者は絵画としてみてくれと言っているように聞こえた。 御殿山を下り大崎駅に出る。
*美術手帖サイト、https://bijutsutecho.com/exhibitions/1960