■モネ、それからの100年

■横浜美術館,2018.7.14-9.24
■日本画に描かれている蓮や羊草からは水生植物としての独特な感覚を貰えます。 でもモネの睡蓮をみていると水に浮かんでいる植物なら何でもよい。 「・・表現したいのは、描くものと自分の間に横たわる<何か>」とモネが言っていることでも分かります。
夕日の描かれた作品が気に入りました。 「セーヌ河の日没」「チャリング・クロス橋」など数点ありましたね。 空間に染み込んでいく夕日の赤は何とも言えない感情が湧きおこる。 <何か>とは感情を呼び起こすもののようです。
モネへのオマージュとして今回は多くの作家作品が展示されています。 この中で水野勝規の映像作品が目に留まりました。 「photon」は水上の波を取り続けているのですが、ずっと見ているとある種の恍惚感が襲ってきます。 船旅で甲板から海上を長く見ているとこうなる。 モネに「税関吏の小屋、荒れた海」があります。 その波はリズミカルですが恍惚感はやってこない。 モネが言う<何か>はリズムとは違うものでしょう。 多分リズムは形だからです。
睡蓮に戻りますが鈴木利策の写真「水鏡」もいいですね。 地と空の融合です。 でもモネの<何か>とは方向が逆です。 モネの絵を観ていると自身の感情が微妙に共振して溶け込んでいくように思える。 作家たちのモネの解釈が多彩で驚きます。 「形なきものへの眼差し」の試行錯誤が楽しい混乱を生み出しています。
*館サイト、https://yokohama.art.museum/exhibition/index/20180714-499.html