■田沼武能写真展、東京わが残像1948-1964

■世田谷美術館,2019.2.9-4.14
■戦後東京が1964年東京オリンピックへ一直線に向かっていたことを強く感じてしまった。 副題も1964迄だからそのように企画したのかもしれない。 そして戦後3年経った1948年から始まっているので弥が上にも子供は避けて通れない。 子供だらけである。 当時の貧富の差は限られているが作品をじっくり見ているとその差が微かに顔をみせる。 これが田沼の作品を面白くしている。 前半は浅草、後半は銀座を中心に撮っている理由も分かる。
渋谷ハチ公を俯瞰した作品はいつも足を止め嘗め回してしまう。 ハチ公や井の頭線駅、周辺の商店街や看板などに・・。 この作品は人気があるようだ。 商品の値段がわかる写真など、例えば「下町の惣菜屋」(1956年)のコロッケ4円メンチカツ・・をみると当時の生活風景が膨らむ。 玩具や雑誌、オリンピック関連の品々もあり興味が尽きない。 3章「忘れえぬ顔」の文化人ポートレートが展示に厚みを増していた。 世田谷に関係する人を選んだようだが多彩な顔が並んでいる。 
写真を見ながら2020年は目的も位置づけも64年とはまったく違うオリンピックになるはずだと改めて考えてしまった。
*美術館、https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00192