■福沢一郎展、このどうしようもない世界を笑いとばせ  ■イメージコレクター・杉浦非水展

■東京国立近代美術館,2019.3.12-5.26
□福沢一郎展
■福沢一郎は美術協会周辺の画家と一緒に展示することが多い。 今回は本人の作品だけで全体像を浮かび上がらせています。 それだけに作品の量と質が充実している。 彼の履歴書を観たという満腹感があります。
さすがM・エルンストに触発されただけある。 初期作品からはキリコやマグリットなどが感じられます。 また彫刻を最初に手掛けたことを知りました。 作品が持つ立体の故郷を探り当てましたね。
副題に「・・世界を笑いとばせ」とあったがそれは1941年の治安維持法で逮捕される迄でしょう。 以降「笑い」から「怒り」に変わる。 世の中の不合理への怒りは強い。 人間の「業」と考えていくようにもみえる。 戦争が終わり戦後のヨーロッパ、アメリカ旅行でもそれが続きます。 ニューヨークでは、例えば「プラカードを持つ女」などはB・シャーンの影響も伺える。 自由に動き回る為に次々と取り込み消化し続けていますね。 後半の表現はダンテに仏教や社会動向を混ぜ合わせた独特なものです。 シュルレアリスムの風刺性が時代と共に少なくなったのは残念。 それでも福沢一郎の厚さと熱さを感じた展示会でした。
*館サイト、https://www.momat.go.jp/am/exhibition/fukuzawa/
*「このブログを検索」に入れる語句は、 福沢一郎
□杉浦非水展
■杉浦非水は初めて聞きました。 グラフィックデザイナーのようです。 実は彼の作品はみたことがある。 レトロな感覚を持つ東京メトロの広告にです。 他に古い三越デパートも。 会場を回ると見覚えのある作品が次々と現れます。 戦前グラフィックデザインの質の高さが感じられる。 彼は映像にも興味を持っていたようです。 しかし会場の映像はどれもつまらない。 これは趣味の範囲でしょう。
福沢一郎より20年早く生まれていますがが同時代の違った分野同士の面白い組み合わせでした。
*館サイト、https://www.momat.go.jp/am/exhibition/imagecollector2019/