■写真の起源、英国  ■志賀理江子、ヒューマン・スプリング  ■戦禍の記憶、大石芳野写真展

■東京都写真美術館,2019.3.5-5.12
□写真の起源
■会場入口の持ち物検査に驚きました。 たぶん初めてでしょう。 一部の写真は布カーテンが掛かっていてそれを持ち上げて観ます。 温度湿度調整もいつもより厳しい。 しかも薄暗い。 この緊張感から貴重な展示品だと分かります。 多くは1850年前後の英国風景です。 大きな書籍もある。 大英博物館にワープした気分です。
実用ではフランスが先行したがイギリスもW・H・タルボットのカロタイプなどで成果を上げていました。 そして1851年英国万国博覧会で大きく前進する。 ビクトリア朝黄金期が支えたのですね。 以後写真は世界へ広がる。 そして当美術館では馴染みのフェリーチェ・ベアトらと供に日本に辿り着くという流れです。 イギリス初期写真史を初めて齧った手応えはあります。
*館サイト、https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3110.html
*「このブログを検索」に入れる語句は、 タルボット
□志賀理江子
■2001年宇宙の旅に登場するモノリスの6面に作品を張り付けてドカーンと20個ほどランダムに置いてあります。 その長辺は3m位ですが。 全ての面は「人間の春・何々」という作品名になっている。 2011年東日本大震災の記憶が甦ります。 それにしてもモノリスに圧倒されます。 力強い春です。
*館サイト、https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3100.html
□戦禍の記憶
■大石芳野が40年にわたり戦禍の渦に巻き込まれた人々を撮った展示です。 1章メコンの嘆き、2章民族宗派宗教の対立、3章アジア太平洋戦争残像ですが20世紀後半の歴史というより記憶として思い出させてくれます。 ベトナム戦争の枯葉剤、カンボジアのポルポト大量虐殺跡、ラオスの不発弾処理、ソ連撤退後のアフガン紛争、コソボ宗教対立、スーダン民族間紛争、そして日中戦争の傷跡が今でも残る中国、韓国、台湾、沖縄、長崎、広島へ続きます。 この半世紀に起こった戦争紛争に、巻き込まれた住民を加えて再度記憶に詰め直しました。
*館サイト、https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3114.html