■至上の印象派展、ビユールレ・コレクション

■国立新美術館,2018.2.14-5.7
■この館の広さを思う存分使っての展示だ。 一部屋6枚から8枚のためゆとりも生まれる。 しかも初めての作品が多い。 1枚1枚じっくり観て来た。 そして部屋の中央に立ってグルッと絵を見回せば最高の至福がやってくる。
途中エミール・ゲオルク・ビュールレの経歴があった。 彼は第二次世界大戦に兵器製造会社で富を増やし絵画を収集したようだ。 美術は<作者⇔作品⇔観客>の構図で作品に直接する。 でも音楽や舞台や映画は<作者⇔演者⇔作品⇔観客>となり一筋縄ではいかない。 バッハのピアノ演奏を弾きながら虐殺を遂行する戦争映画や舞台を観たことがあるが、特に好きな曲では複雑な苦しさを感じる。 美術は戦利品・植民地獲得・企業経営成功などでコレクションされるが戦争と平和を越えて楽しむことが容易だ。
会場に戻るが、素晴らしいのは第5章「ドガとルノワール」の部屋である。 ドガの3枚とルノワールの3枚が溶け合い当に至上の印象が漂う。 そしてセザンヌ「扇子を持つセザンヌ夫人」をみては脳味噌が喜ぶのが分かる。 戻ってドラクロアの2枚も気に入る。 「選ぶスタイルを決める」そして「独自の意志を持って作品をまとめ上げる」とビユールレは言っているが、第1章「肖像画」も人物味が凝縮されていて彼の意志がみえる7枚だった。 今回はコレクション全体像だけではなくビュールレという人物を知ったのも嬉しい。
*展示会サイト、http://www.buehrle2018.jp/