■村上隆の五百羅漢図展

■森美術館,2015.10.31-2016.3.6
■村上隆の作品は海外の見慣れた風景を一変させます。 その場所が異化するとでも言うのでしょうか? 場の中心を混沌化させる力がある。 ヴェルサイユ宮殿やグランド・セントラル駅、ルイ・ヴィトンでの展示は素晴らしい。 この会場に外国人客が多いのも頷けます。
しかし日本ではそうはいかない。 周りに同類が多いからです。 物語の希薄さも欠点になりそうです。 手塚治虫、宮崎駿、水木しげるは画と一緒に流れている物語力が強い。 狩野一信も2枚展示されていましたがまだ物語を絞り出せる力がある。 村上五百羅漢図はその力に迫れない。 時間を貯められる漫画的感動と一瞬の絵画的感動は違ってきます。 その為か漫画に近づく連作より1枚ものに見応えがありました。
映像「村上隆の言葉」は作品を補足していますね。 「アートはカネがかかる。 貧=正義=芸術から抜け出せ」、「芸術は世界のルールに従う。 だから唯一の自分を見つけ世界を相対化しろ」、「今の日常は100年たてば非日常化される。 現代美術などは直ぐに無くなる」。 村上の言葉はそのまま現代芸術の悩みに突き当たります。
*館サイト、http://www.mori.art.museum/contents/tm500/