■FOUJITA

■監督:小栗康平,出演:オダギリジョ-,中谷美紀
■新宿武蔵野館,2015.11.14-
■藤田嗣治が主役のドラマ映画である。 前半はモンパルナスが舞台だが藤田は既に「乳白色の肌」で名声を博している。 「パリに来て10年」と言っていたから1923年頃か? だが藤田は名を売ることに奔走する以外は何をしたいのかよくわからないシーンが続く。 モディリアーニやスーチンも登場するがパリの街はどこか閑散としている。
1939年からの後半は日本が舞台になる。 ここで藤田は将官である陸軍美術協会理事長として登場する。 表面上は戦争協力をしているが厭戦気分が漂っている。 そして敗戦が近づいて来ると何んとなしに終わってしまった・・。
小栗康平の作品は久しぶりだ。 「埋もれ木」以外は観ているが時が開き過ぎてしまい何と言ってよいのかわからない。 どこかギクシャクしている。 繋ぎが不連続の為かもしれない。 これが独特なリズムを作っている。 日本の風景はパリと同じで夢の中に居るようだ。 君代役の中谷美紀はそこに溶け込んでいて好演であった。 でも狐のアニメはいただけない。 既に漂っていた狐の徴が壊れてしまった。
終幕のクレジットタイトル背景では晩年に描いたフジタ礼拝堂の作品が映しだされていた。 この作品群はあまり好きではなかったのだが今日の映画の最後に観ると藤田の心の在り方が分かる気がした。
*作品サイト、http://foujita.info/