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■トフロムヤエス TOFROM YAESU

■建設業者:大成建設ほか,デベロッパ:東京建物 ■2026.9.10一部開業 ■八重洲口方面の土地取得問題で経済誌などでも話題になった「トフロムヤエス」を見学した。 建物は高層部の「タワー」と低層部の「フロント」で構成されている。 見学時点ではフロントはまだ全面開業していないようであった。 1階を歩くと、大きな吹き抜けと幅広い通路が印象的で、開放感のある快適な空間が広がっている。 こうした設計は、東京駅側に残る旧来のビル群や飲食街との連続性を意識したものではないだろうか。 巨大な再開発ビルでありながら、周囲との間に壁をつくって街を分断するのではなく、人の流れを自然につなげようとする姿勢が感じられた。 内部に入ると、1階の広場では写真展が開催され、多くの来場者で賑わっていた。 3階までには飲食店が点在しているが、まだシャッターが閉まった区画も目立つ。 立食形式の店舗が比較的多く、落ち着いて食事を楽しむというよりは、旅行客や通勤客が気軽に立ち寄れる構成になっているように見えた。 八重洲地下街の延長線上に位置づけられているとも感じられる。 3階には「ぴあシアター」の劇場があり、見学時にも公演が行われていた。 4階のオフィスロビー周辺はまだ工事中の部分が残り、5階と6階には会議室が整然と並んでいた。 また、地下にバスターミナルを備える点からも、「東京ミッドタウン八重洲」と対をなす施設として計画されたことがうかがえる。 ミッドタウンがホテルや学校・イノベーション機能を有するのに対し、トフロムは劇場やカンファレンス、医療機能を担うことで役割を分担しているようだ。 両施設の整備によって、交通結節点・文化交流拠点としての八重洲の二つの顔がそろいつつあることを実感した。 *トフロム八重洲、 https://tofrom-yaesu.com/

■アルベール・マルケ展

■作家:アルベール・マルケ,ポール・セザンヌ,フィンセント・ファン・ゴッホ ■SOMPO美術館,2026.9.22-12.13 ■アルベール・マルケの作品には時折出会う機会があったが、これまでは強い関心を抱くほどではなかった。 今回は日本では三十五年ぶりとなる大規模な回顧展だという。 この間隔の長さからも、日本におけるマルケの位置づけの一端がうかがえる。 そういえば会場の解説にもあったが、マティス展でしばしば彼の名前を目にしていたことを思い出した。 人物や家並みが簡潔な形態へと還元され、抑制された中間色によって描かれたマルケの風景画は、ある種の詩歌表現を絵画へと置き換えたもののように見える。 そのため彼の作品は、一点一点を独立して鑑賞するだけでなく、連作の関係性を意識しながら眺めることで真価が見えてくる。 例えば灰色のセーヌ河を描いた連作である「グラン=ゾーギュスタン河岸」の二点と「ルーヴル河岸」の合計三点を、少し後ろへ下がりながら見比べる。 そこにマルケ鑑賞の醍醐味がある。 さらに「サン=ミシェル橋」の六点を遠目から見渡し、後半では「ポン=ヌフ」の三点を同時に視野へ収める。 すると反復と変奏による詩のようなリズムが立ち上がってくる。 このように、マルケは個々の作品以上に、複数作品の関係性が重要な画家であると感じた。 ところで、美術館所蔵のセザンヌ「りんごとナプキン」がガラスケースから出され、壁面に展示されていた。 久しぶりに左から右から、また近くから遠くからと視点を変えながら見入ってしまった。 その存在感にあらためて圧倒され、セザンヌを鑑賞する喜びを存分に味わった。 一方、ゴッホの「ひまわり」は依然としてガラスケースの中に収められている。 もちろん保存や安全面での配慮は理解できるが、それによって鑑賞者の視点や距離感がある程度限定されてしまうのも事実だ。 「りんごとナプキン」のように壁面展示が可能であれば、作品との向き合い方にもより大きな自由が生まれるのではないだろうか。 *開館50周年記念展 *美術館、 https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2025/albertmarquet/