■田名網敬一、記憶の冒険

■国立新美術館,2024.8.7-11.11
■これでもか!!と続いていく作品に圧倒されました。 でも、あっけからんとした雰囲気もみえる。 エントロピーだけが大きくなっていく。 増大する現代の情報社会に通じるものがあります。
・・天井を見上げるとB29爆撃機の大きな模型がぶら下がっている。 襲いかかる艦載機も至る所で目に入る。 目黒の焼け野原から始まり、遊んだ雅叙園、学んだ美術学校、そしてPLAYBOY・11PMなどの仕事世界へ,中国旅行、結核を患い、記憶の旅へ、アンダーグラウンドに出会い、記憶の迷宮、記憶の修築へ、ピカソの悦楽を知り、コラボレーションで幕が閉じる・・。
作家のインタビュー映像を見て謎が解けました。 「・・作成過程で作品はどんどん変化していく」と言っている。 次々と素早く描き足し、次第に画面は詰まっていき身動きが取れなくなる。 映画のコマを画空間にばら撒いたようなものです。 結果、各作品が同じような構造になってしまう。
大病を患った後から<記憶>が前面に出てきますね。 「記憶とは死を意識すること」と本人が言っていた。 この夏に亡くなったことを会場で知りました。 作家の圧倒的記憶で出来たこの展示会を天国から見守っていることでしょう。