■アジェのインスピレーション  ■無垢と経験の写真  ■ユージン・スミス写真展

■東京都写真美術館,2017.11.25-2018.1.28
■アジェのインスピレーション-ひきつがれる精神-
■アジェが撮ったパリの街並みをみていると、そのまま止まっている当時の時間を感じることができる。 壁や窓やドアからできている一つの建物はアジェ独特な存在感を持っている。 それは幾何学的な美しさがあるの。 人は疎らで小さく撮られているから気配だけが建物に溶け込んでいく。 無機質が優位でもそこに暖かさが感じられる。
アメリカ、特にMOMAを中心とした展示のようね。 副題を広げアジェに影響を受けた日本作家の作品も並んでいる。 「アジェは別格!」。 清野賀子の言うとおりだわ。 荒木経惟は「手本はアジェ、その後継者はウォーカー・エヴァンズ・・」。 被写体の対象は違うけど後継者は分かる気がする。 アジェの作品に触れると精神が清められる。
*館サイト、http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2878.html
■無垢と経験の写真-日本の新進作家vol.14-
■5人の新進作家の展示会よ。 好みが分かれるわね。 片山真理は周りにある玩具や衣装、寝具と一体になり独特な世界が現れている。 彼女の心の在り様も分かるから恐ろしい。 鈴木のぞみの木枠やサッシの窓に風景を印画した作品は異様な雰囲気がある。 手鏡ではリングの貞子を思い出してしまった。 金山貴宏は張り詰めた目や顔の家族や親類の記録。 そして武田慎平は放射線感光のフォトグラム作品でよく分からない。 緊張感ある会場だった。 吉野英理香の湿り気と濃さを持った木々草花や物々を背景にした作品が唯一現実に戻る道筋を持っていたわね。
*館サイト、http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2876.html
■生誕100年ユージン・スミス写真展
■12章の構成だけど「太平洋戦争」「スペインの村」「水俣」は何回もみた記憶がある。 他はまとめて観たことがないので貴重な展示会よ。 彼がライフ編集部と対立したのは大ニュースより人々の日常生活の限界に目を移していたからだとおもう。 「カントリー・ドクター」や「助産婦」「アルベルト・シュバァイツァー」の医者と患者の姿。 「化学の君臨」「日立」や「季節農業労働者」「ピッツバーグ」は資本主義現場や労働者との対立を鋭く描き出している。 「ロフトの暮らし」は彼の人生を知るうえでの大切な章にみえる。 ユージン・スミスの全体像を知ることができて見応えがあったわ。
*館サイト、http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-2927.html