■ゴッホ、最後の手紙

■監督:ドロタ・コビエラ,出演:ダグラス・ブース,ジェローム・フリン,ロベルト・グラチーク
■新宿シネマカリテ,2017.12-(イギリス+ポーランド,2017年作品)
■アニメだと聞いていたが100%アニメだった。 実写は一場面も無い。 しかもゴッホの描いた絵が動いているのだ!
ゴッホ史を開いた時に画家になる迄の職業遍歴に驚いた記憶がある。 この映画はタンギー爺、郵便夫ローラン、ラブー旅館の女将、ガシュの娘マグリットなどにゴッホの姿を簡素に語らせている。 主要関係者を知っていた方がすっきり入れる作品だ。 手紙付の郵便配夫(の息子アルマン)を主人公にしたのが成功した理由だとおもう。 でないと関係者の口を開かせることができない。 当時の郵便配達人は人間関係を繋ぎ合わせてくれる。
それにしても途中まで何が言いたいのか分からない映画だった。 絵については殆ど触れられない。 ゴッホは自殺か他殺か? 自殺ならその原因は何なのか、他殺なら犯人は誰なのか? そして彼は本当に鬱病だったのか、性病との関係は? ・・。
「絵画によって彼自身を語らせる」とチラシにあったがこの映像の努力は認める。 100名以上の絵師を投じて作成した6万枚の下絵の面白さを前面に押し出している作品である。 しかしゴッホを本当に知っているのだろうか? ゴッホとは絵の前に立った時にしか出会えない。 そして今となってはそれで十分かもしれない。
*作品サイト、http://www.gogh-movie.jp/