■拝啓ルノワール先生、梅原龍三郎に息づく師の教え

■三菱一号館美術館,2016.10.19-17.1.9
■窮屈な会場だが逆に二人の親密さを漂わせている。 渡欧した頃の自画像をみると開かれた若者という性格がみえる。 壁には梅原の言葉が貼られているが読むと彼の生活の豊かさがみえる。 ルノワールも心を開いたのだろう。
そして梅原やルノワールの言葉を読んで作品をみるといつもと違った見方をしてしまう。 展示会の狙いかもしれない。 初期作品はピカソの影響が大きい。 中期はルノアールの通奏低音も響いているがボナールを含め多くの影響がみられる。 関係性から絵をみてしまうのだ。
当時の画家たちの年表が掲げてあった。 梅原・ピカソ・マティス・ルオーの生まれた1880年頃とルノワール・ドガ・セザンヌ・モネの1840年は約50年の差がある。 今や寿命は伸びているが同時代人として走れる歳差は20年くらいに縮んでいる。 情報量の多さと情報寿命の短さからくる出会いや選択の困難性からである。 現代では考えられない50年という長さを持つ緩やかな関係を楽しむことができた。
「ルノワール展」(2016年)
*展サイト、http://mimt.jp/renoirumehara/