■デザインの解剖展、身近なものから世界を見る方法

■ディレクタ:佐藤卓
■2121デザインサイト,2016.10.14-17.1.22
■身近な商品は企画・設計・製造・物流・販売を通して消費者の手に届きます。 この製品を分解・解析し過程を遡上しながら設計の本質を明らかにする展示会らしい。 今世紀初めに広まったリバースエンジニアリングをまずは思い出す。 デザインとは工学用語での「設計」でしたが美術にも広がったと聞いています。 デザインが本来の意味に戻ったと言えるでしょう。
展示商品は明治乳業の「きのこの山」「ブルガリアヨーグルト」「ミルクチョコレート」「エッセルスーパーカップ」「おいしい牛乳」の5点です。 「きのこ・・」と「エッセル・・」は食べた記憶がありません。
まさしく商品の分解です。 ここでは解剖と言っている。 この違いがデザインを広義に捉えようとしている。 やはりパッケージや本体の形や色に力点が置かれている。 でも目に留まったのは工場での製造過程を撮った3分の映像です。 キノコの柄と傘をどのように作っていくのか等々一発でわかりますから。 企画や設計の成果物と比較しても格段の情報量を持っている。
説明が詳細で学部生用の講義内容のようですね。  この美術館の方向性がみえます。 5商品はどれも乳製品なので飽きが来る。 気に入った一点をじっくり見るとか、5製品の同一部分の比較も面白いかもしれない。 細かすぎて目的がなんであったのか忘れてしまいそうでした。
ところで明治乳業の製品は味がさっぱりしています。 牛乳・チーズ・バター・ココアはよく口にしますが、森永や雪印と比較して遊び心が少ない味だと感じる。 ただしブルガリアヨーグルトは酸味が強くて特徴がある。 他企業より効率化標準化が進んでいるのでしょう。 この展示で明治を選んだ理由もここにあるのかもしれません。
*美術館、http://www.2121designsight.jp/program/design_anatomy/