■ニキ・ド・サンファル展

■国立新美術館,2015.9.18-12.14
■ナナは見たことがあったが作者には関心がなかった。 おおらかで色彩豊かな解り易い作品のためか深い興味が湧かなかったからである。 今回初めてニキの全体像を知った。
娘が父の解体を進めるのは、父が母を捨て他の女へ行ってしまうか、その逆に父が家族にへばり付き厳格になるかの二つである。 ニキは後者を心の傷としてしまったのか?
アルジェ戦争や「射撃絵画」を越えて父の総括をするのが「大聖堂」だろう。 ここから<女性>にも関心が広がる。 ボーヴォワールの影響も解説にあったが心にも余裕が出てきたのかもしれない。 ポスターや陶器・貴金属類もなかなか楽しい。
後半はヒンズー教・仏教そして占へと接近していく。 これも女性精神の特徴と捉えて芸術に昇華しているのは素晴らしい。 全てを観終って、彼女の作品は男性への深層葛藤を解決するための箱庭療法から生まれ出たものだと理解した。
*展示会サイト、https://www.nact.jp/exhibition_special/2015/niki2015/