■佐藤忠良、ある造形家の足跡

■世田谷美術館、2010.12.23-2011.3.6
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
■80点ものブロンズ彫刻をまとめて観たのは初めてです。 頭像や女性像を前にするとモデルになった人物の人間としての全てが伝わってきます。 素材が金属でも違和感なくそれを感じます。
「写実は単なる自然描写ではない。 作者が対象に持った共感が起きたときの衝動である」と佐藤は言っています。 共感こそ生物が持っている感情の源です。
こうして作者はモデルの全人格をブロンズに封じ込めます。 作品を前にするとき、この共感とともにモデルのすべてが現前するのです。 作品ごとに現れる人格が違うためどの作品も飽きがきません。
そして「作品にしゃべらせない」とも言っています。 喋らせないことにより自由に時間の中を行き来でき一層リアルに現前できるのです。 共感のリズムの中で、ひさしぶりに至福の時を持てました。