■鉄を叩く、多和圭三展

■目黒区美術館,2010.11.13-11.1.9
■作品を見ながらこれが鉄の塊だと思い起こすだけで、その圧倒的な重力に絡め取られて身動きができなくなる。 大理石からダビデ像がでてくるのとは違う。 ハンマーで叩いても表面に傷がつくだけだ。 なにか諦めの気持ちを持ってしまう。
がしかし、20世紀に生まれた人間として重さや諦めから解放されていたことを思い出してしまった。 それは鉄道のレールだ。
レールこそ今世紀最大の鉄塊の芸術作品だ。 地平線のその先まで伸び、駅では樹木のように広がり、輝きは毎時変化し、列車が走るとリズムを奏でる。
多和圭三が手を血豆だらけにしてハンマーを叩いても、レールの持つ速さ軽さ鋭さは越えられない。
*館サイト、http://mmat.jp/exhibition/archives/ex011113