■ボストン市庁舎

■監督:フレデリック・ワイズマン
■DMM・配信(アメリカ,2020年作)
■ワイズマンの作品はどんどん長くなっていきますね。 今回は4.5時間で40シーケンスから構成されている。 つまりボストン市役所の40の日々の出来事を覗き見ることができる。 会議や公聴会、職員の仕事風景などなどをです。
ボストンには150カ国の人々が住んでいる。 いつもですが彼の作品には人種差別を無くそうとする強い意志が読み取れます。 ボストン市もそれに沿っているのがわかる。 マーティ・ウォルシュ市長の思想や行動も影響している。 市民の立場で観ることができます。
記憶に残る場面が3つあります。 一つは「退役軍人会」会場で市民たちの経験談を語り合う場面です。 両大戦は勿論ですが、朝鮮戦争・ベトナム戦争・アフガン紛争、イラク戦争からの帰還兵が沢山いる。 やはりインパクトがあります。 二つめは「コミュニティカレッジ」のラテン系女性が人種と女性、2重差別の中での仕事処世術を語る。 交渉能力が強くないと世間を渡れない。 厳しい時代と社会がみえます。 そして三つめは「コミュニケーションセンター」での大麻店開設計画の公聴会です。 市職員・企業担当・住民の意見が熱を帯びる。 これは驚きです。 麻薬の店が自宅の近くに建てられる状況は考えられない。 (日本とは)スケールが違います。
市役所の機能・組織の詳細は知らない。 でも職員と住民のコミュニケーションは対面が多く健全にみえました。 ワイズマン行政3部作の一つと言ってよいでしょう。 他の2つは「ニューヨーク公共図書館」「ジャクソンハイツ」を選びました。