■写真と絵画、柴田敏雄と鈴木理策 ■越境から生まれるアート ■石橋財団コレクション選、ピカソとミロの版画

■アーティゾン美術館,2022.4.29-7.10
■「柴田敏雄と鈴木理策」は楽しく観ることができました。 鈴木理策は絵画への接近が特に強いようですね。
でも写真と絵画を並べられると気が散ってしまう。 この二つは観るときの意識の流れが違うのかもしれない。 写真はこの世がギッシリ詰まっているので現実に揺れる一瞬がある。 絵画はそこから自由です。 写真と絵画を交互にみる時にはこの違いがリズムを狂わせてしまう。
柴田敏雄の風景にはシャッターを押すまでの被写体との息詰まる遣り取りが感じられる。 その過程が静かに結晶化され昇華した風景となり現前する。
鈴木理策の「サンサシオン」ではセザンヌを語っています。 でも気配が誰であっても豊かな感触は失わない。 写真をみる喜びが湧いて来る。
面白い作品は「ミラーポートレイト」(2016年)の十数枚。 これはハーフミラーを使って裏から人物を撮影している。 目の焦点が鏡面のため人物の<鏡の主観>が<レンズの客観>に入り混じって顔写真ができあがる。 ポートレイトの核心に一歩近づいたようにみえます。
■他の2展示を観て回る。 この館の量とその質にはいつも満足です。