■牧歌礼讃/楽園憧憬、アンドレ・ボーシャン+藤田龍児

■東京ステーションギャラリー,2022.4.16-7.10
■アンドレ・ボーシャンと藤田龍児の二人は40代後半に絵画を人生の伴侶にしたようです。 どちらも画風はアンリ・ルソーを思い出させます。 木々や花々を対象にした素朴派の仲間でしょうか?
藤田龍児に近づくとスクラッチで細かい線が描かれている。 例えば木々の葉脈や建物の煉瓦などに。 離れると線が面にグラデーションとして溶けていく。 ここに微妙な自然が現れます。 ポーシャンは園芸家だけあって花には自信がありそうですね。 抽象に画いても生命が宿っています。
二人の決定的な違いは人物描写でしょう。 藤田の描く人は孤独です。 画面には寂しさが隠れています。 時々それがヒョッと現れる。 彼のそばにはいつも犬が寄り添っている。 犬好きの私にはホッとします。
ボーシャンにはそのような孤独は感じない。 安心してみていられます。 感情が薄いのでツマラナイとも言える。 でも二人の絵は会場の煉瓦の壁と微妙に共振し活き活と震えていました。