■リバーシブルな未来  ■イマドキの野生動物、宮崎学  ■山城千佳子、リフレーミング

■東京都写真美術館,2021.8.27-10.31
□リバーシブルな未来,日本・オーストラリアの現代写真
■日本とオーストラリアの相異に驚き楽しもうという展示会のようです。 オーストラリアの作品は白塗りした先住民や縫いぐるみの人物、ジャグリングをしている人など物語が前面にでている。 背景の情報を私が持っていないから? 日本の作品はその逆です。 社会にへばり付いている。 畠山直哉「陸前高田」は現在から2011年3月まで遡っていくが、整然しすぎた写真群のため町の開発史をみているようです。 片山真理は装飾に包まれながらも、パラリンピック選手とは違う身体拡張を実践しています。
R・ラングの走り去る風景で始まり、P・パパペトロウ「私の心」の暗いモノクロで女性を写した心象風景で終わる展示でした。 「個人と社会を繋ぐ力」を表現したかったのでしょうか? 「私の心」がいちばん気に入ったのですが、両国の関係性を見つけるのは容易ではなかった。
□イマドキの野生動物,宮崎学
■動物の写真は心が和みます。 しかし登場する動物たちは真剣ですね。 襲うか襲われるか毎日が勝負です。 被写体の動物は現代の人間と繋がっている。 「けもの道」は人の通り路でもある。 「死を食べる」では「死体に湧くウジの踊り食いをするツキノワグマ」など異様な作品が多い。 先日観た「レンブラントの夜警」のP・グリーナウェイ監督の「ZOO」を思い出してしまいました。 「新アニマルアイズ」になると都会に住む野生動物たちがうごめく。 イマドキが迫ってきます。
□リフレーミング,山城千佳子
■映像作品が多くて戸惑いました。 作者本人が本格的なダンサーでありパフォーマーとして多くの作品に登場する。 身体はもちろん声も重視している。 沖縄がまったく違ってみえる。 しかもパフォーマー川口隆夫にここで出会えたのは驚きです。 「土の人」の3画面映像は大戦のアジアと沖縄が混沌となり現前してくる。 新作「リフレーミング」は都合で数分しか見ることができなかった。 それでも刺激的な作品が多く脳味噌が震えました。 機会があれば見逃した作品を再度訪れたい。