■空想の建築、ピラネージから野又穫へ

■町田市国際版画美術館,2013.4.13-6.16
展示構成はうろ覚えだが。 ・・エジプト誌、ピラネージの古代ローマからロゾイック等の摩天楼まで、コイズミアヤの建物模型、阿部浩のリトグラフだったと思う。
古代遺跡や劇場跡・摩天楼は過去なのか未来なのかわからない。 時間が建物に溶け込んでいるからである。 コイズミアヤの作品は突っ込み不足である。 版画と違って模型は時間を戻したり進めたりすることができない。
阿部浩の石版画には鋭さがある。 これは題材として選択したピラミッドのお陰である。 でも抽象すぎて他章から外れてしまっている。 <空想の建築>は混沌としている時間を内包できる現実の建築が必要らしい。 抽象建築物だけでは混沌を受け止められない。
■ELEMENTS・野又穫ドローイング展
上記企画展の続きにみえるが・・。 「交差点で待つ間に」(2013年)は忠犬ハチ公付近の風景だが、ピラネージの「古代ローマのアッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点」のオマージュのようである。 ・・漫画に近いが。
それにしても彼の作品にはピラネージにあるような時間の凝縮度が無い。 それは陰影や暗闇が少ないからである。 光や影は時間の存在を意識させてくれる。 渋谷を描いた「波の光」(2013年)はもはや別物である。