■牧野邦夫・写実の精髄

■練馬区立美術館,2013.4.14-6.2
いやー参りました。 自画像ばかりで。 なぜこんなにも自画像を描くのか? しかも武装してまでも。 三人もの姉に囲まれていた影響もあるはずです。 きつい顔をみれば癌で亡くなるのも頷けます。
レンブラントへの憧れはよくわかりません。 でも岸田劉生の匂いはします。 褐色肌は昭和前半のリアルな色です。 裸婦は日本人独特のセクシーさがあります。 人物以上に静物も同様です。 たとえば食卓の食器や果物も枯れた美を持っています。
後半は風景のあらゆる箇所に亡霊のような顔が描かれています。 服の柄や雲の形にもです。 これが逆に衝撃力を失わせています。 もっと写実に徹することで戦略としての面白さが出たはずです。