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■ドビュッシー、音楽と美術ー印象派と象徴派のあいだで

■ブリジストン美術館,2012.7.14-10.14 ■分野の違う人や事をテーマにするとなんでも有りって感じね。 会場をみて先日のバーン・ジョーンンズ展と同じ感想を持ってしまったわ。 ジョーンズがみたギリシア・ローマ・英国の文学がドビュッシーがみた19世紀末の美術に移行したようなものよ。 ドビュッシーの初期のピアノ作品なら印象的だし管弦楽だと象徴的に受け取ってしまいそう。 会場のどこかに書いてあったけど影響を受けた画家は結局はターナーかもね。 コレクション室もほぼ同時代の作品だから量的にも満足できたわ。 このような企画は素材が沢山転がっているから学芸員は楽かもしれない。 観る方も範囲が広がり新しい発見があるからいいけどこれが流行になったら混乱する感じね。 今回も女性関係に1章を割いたら別のドヴュッシーが現れたはずよ。 *美術館、 https://www.artizon.museum/exhibition/past/detail/291

■バーン=ジョーンズ展

■三菱一号館美術館、2012.6.23-8.19 ■ http://mimt.jp/bj/ ■どんよりとした灰色の空、やはり灰色がかった木々や草花、青白い肌、美人だけど微かに猜疑心のある目・・。 まさしく物語を呼んでいる絵だわ。 それも昔出会った静寂の世界に沈んでいる物語をね。 英国はとても特殊にみえる。 それは中学時代からの英語学習のせいよ、きっと。 無意識的に言葉の国としてみてしまうの。 作品をみていると子供時代に読んだ童話も思い出してしまったわ。 アメリカやフランスの作品もごちゃまぜだけどね。 物語はどの国のどの時代でも構造が同じなのよ。 だからいろいろな物語を招き寄せてしまうのね。 忘れていた世界を思い出させてくれたわ。

■奈良美智:君や僕にちょっと似ている

■横浜美術館、2012.7.14-9.23 ■ http://www.nara2012-13.org/ ■奈良美智は漫画家じゃなかったのか? 世間では画家で通っているようだ。 じゃりん子チエを中産階級の家庭で育てて目を大きく潤ませれば作品の女の子になる。 じゃりん子チエ二世である。 やはりこれは漫画にしかみえない。 会場に入るとこの女の子ブロンズ像が並んでいる。 像のほうが柔らかさがあるが、わざわざブロンズ像を作成した理由がみえない。 奈良美智は何を考えているのやら? しかし「ちょっと意地悪」はどうみても意地悪をしている顔だし、「YOUNG MATHER」はどうみても若い母親である。 周囲にはこのようにちょっと似ている人が必ずいる。 だからどうしろって言うほどのことでもないが・・

■大英博物館古代エジプト展

■森アーツセンターギャラリ,2012.2.7-9.17 ■NHK「知られざる大英博物館古代エジプト」、TBS「ピラミッド新たな真実」を先日みました。 前者はエジプト民が思っていたより豊かであったこと、後者は第二の「太陽の船」の発掘から古王国エジプト宗教の一端が明らかになったことです。 この二つの知識を持って六本木へ向かいました。 目玉は第三中間期の「死者の書」です。 会場は冥土への旅に持っていく200もの呪文・護符・人形などで一杯です。 そしてオシリス神の死者への審判。 日本なら閻魔大王の裁きです。 審判では42項目がチェックされます。 盗みをしなかったか? 不貞をしなかったか? 暴力をふるわなかったか? ・・・これをしていたら地獄行きです。 現代と同じですね。 これだけ過剰な儀式があった古代エジプトはやはり豊かだったのでしょう。 この展示会と先のテレビ番組で古代エジプト宗教がバッチリわかりました。 これで8月開催の上野の森美術館「ツタンカーメン展」へ行ったらパーフェクトですね。 *美術館、 https://macg.roppongihills.com/jp/exhibitions/2012/

■村山知義の宇宙

■世田谷美術館、2012.7.14-9.2 ■ http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html ■神奈美の葉山での開催は見逃してしまった。 だから早速世田美へ急行したが<つまらない>展示会だ。 多種ジャンルを扱っているのでゴミを寄せ集めたような構成である。 しかも資料がやたら並べてあるのみ。 これが意識的構成主義の並びか? もっと意識的にメリハリをつけて立体感のある展示にできないかな? 高校の文化祭のような会場だ。 これでは目録を買って家でゆっくりみたほうがよい。 もちろん買わなかったが。 気に入ったのは童画。 童画は知義が好きで描いているのがわかる。 他の分野も時代と共に走っている面白さはあるが独自性が無い。 でも狂騒と狂乱の1920年代に彼は走りはじめたんだから本望だろう。 やなぎみわが芝居をやるようだが観たいなぁあ。 ところでもう一つ見逃したのは須賀美の「国吉康雄展」。 2004年の近美以来だったからみたかった。 こちらは都内への巡回はないだろう。 葉山や横須賀は遠いからなぁあ。

■マウリッツハイス美術館展

■東京都美術館,2012.6.30-9.17 ■とてもリッチな作品ばかりね。 この豊かな雰囲気は17世紀オランダの大航海や宗教改革の成果かも。 「風景画」の空の広さや雲の形は市民の安心感がみえる。 それは静物画や肖像画も同じ。 だから観ていると精神も引き締まり充実するの。 ところでこの美術館は改修が終わったようね。 少しカラフルになった感じ。 レストランも増えたし。 でも混み具合は相変わらずだわ。 安チケットをばら撒き過ぎてるんじゃないのかしら? 今回はフェルメール目当てもあるからしょうがないかな。 9月中旬まで開催しているからフェルメール抜きでもう一度行ってもいいくらいね。 *館サイト、 https://www.tobikan.jp/exhibition/h24_mauritshuis.html

■目黒と雅叙園の魅力展

■目黒雅叙園、2012.6.1-8.19 ■ http://www.megurogajoen.co.jp/event/gajoenten/ ■雅叙園は1931年に料亭として開業しています。 園内に有名な百段階段があります。 ここを歩きながら7つの座敷を見てまわる展示会です。 座敷は荒木十畝の間、菊池華秋と尾竹竹玻の間、礒部草丘の間、池上秀畝と小山大月と橋下静水の間、板倉星光の間、鏑木清方の間、松岡映丘の間の7部屋。  昭和初期の雰囲気が漂っています。 なぜか懐かしさもありますね。 これは天井、床柱、、欄間、襖に障子など座敷が持っている総合力の賜物でしょう。 そしてガラス障子からみる外の景色は格別です。 たまたま数日前に「千と千尋の神隠し」をテレビで放映していましたが、湯婆婆の部屋を含めここの座敷を参考にしたとのことです。 座敷を歩き回っていると油屋に居るようです。 千尋のように別世界へ行ってきた感じですね。

■具体

■国立新美術館、2012.7.4-9.10 ■ http://www.nact.jp/exhibition_special/2012/gutai/index.html ■「具体」は「抽象」の逆だと考えながら行ったら違っちゃった。 しかも固有名詞なの。 二度ビックリね。 「黒地に赤い円」(1965年)を観てこの人がリーダーだったんだ!とまたビックリ。 1970年の大坂万博がグタイグループの総括イベントだと解説にあったけどその通りね。 万博ビデオをみると地域市町村の夏祭りと同じノリなの。 もちろん凝ってはいるけど。 でも夏祭りの楽しさってよくわかるわ。 ミシェル・タピエを登場させたけどアンフォルメルを深く議論しなかったのは正解。 今回、東京での展示会が初めてというのも戦後日本の祭りの一つだったからわざわざ回顧する必要が無かったのかもね。

■世界報道写真展2012  ■デヴィッド・リンチ展  ■安世鴻写真展

■東京都写真美術館,2012.6.9-8.5 ■世界をみると東日本大震災はあったが衝撃的なニュースはいつもより少ない。 このため社会・日常部門の作品が記憶に残る。 アルゼンチンのアルツハイマの世話やウクライナの娼婦、アフガニスタンの新人警官や児童結婚などなど。 作品の隅々までじっとみていると世界の日常生活が日本と直結しているのが迫ってくる。 地球があまりにも狭すぎるという恐ろしさがある。 * 「世界報道写真展2011」 ■デヴィッド・リンチ展 ■ヒカリエ・8/アートギャラリ,2012.6.27-7.23 ■恵比寿からの帰り、気になったので渋谷に立ち寄る。 映画監督の絵と言えば黒澤明の絵コンテくらいしか知らない。 リンチは黒の水彩画が多いようだがサッサッと軽く描くところが映画監督の特徴のようだ。 挨拶のビデオがあったがこれが一番おもしろかった。 数十秒の長さだが「インランド・エンパイア」を思い出してしまった。 ということで次なる作品を早く作ってくれ! *館サイト、 http://www.hikarie8.com/artgallery/2012/04/post-1.shtml ■安世鴻写真展 ■ニコンサロン,2012.6.26-7.9 ■渋谷から新宿に向かう。 ニュース報道があった為か場内はとても混雑している。 タイトルは「中国に残された朝鮮人元日本軍「慰安婦」の女性たち」である。 写真は80枚くらい。 多くは90歳に近いお婆さん達で表情は穏やかである。 しかし解説が一つもない。 報道写真展と同じように十分な解説がほしい。 政治的作品は右でも左でもどんどん開催してくれ。 観たい奴は観に行けばよい。 嫌なら行かなければよいのだ。 今回のニコンは見苦しい対応だった。  *館サイト、 http://www.nikon-image.com/activity/salon/schedule/back/201206.html