■YBA&BEYOND、世界を変えた90s英国アート
■作家:フランシス・ベーコン,ダミアン・ハースト,デレク・ジャーマン,スティーヴ・マックイーン,サイモン・パターソン他
■国立新美術館,2026.2.11-5.11
■1980年代後半から2000年頃までに製作された英国美術に焦点を当てた展示会である。 1988年、作家ダミアン・ハーストが企画した「フリーズ」展に集まった作家たちは、YBA、つまりヤング・ブリティッシュ・アーティストと呼ばれるようになった。
会場に入ると、まずフランシス・ベーコン「トリップテック(三幅対)」(1988年)が目に飛び込み、続いてダミアン・ハースト「後天的な回避不能」(1991年)が現れる。 しかし、独自の表現を追求する作家たちの作品も並び、最初は全体像がつかみにく印象を受けた。 「ハンズワースの歌」(1986年)のドキュメンタリー映像を観た後、これら三作品を通して展示の主題が徐々に見えてきたように感じられた。
英国の身体・社会・歴史が世紀末に向けて溶解し始めていたのだ。 そこには英国特有の植民地主義の影も含まれるだろう。 この溶解は今も続いていて先が見えない。 AIやドローン兵器といった劇的な技術変化を取り込みながら、このまま21世紀は進んでいくのかもしれない。
映像作品では「ハンズワースの歌」のほか、トレイシー・エミン「なぜ私はダンサーにならなかったのか」(1995年)、スティーヴ・マックイーン「熊」(1993年)、スタバ・ビスワス「ミッキー・ベイカーの試練と苦労」(1997年)、マーク・ウォリンジャー「王国への入口」(2000年)などを観ることができた。
エミンは赤裸々な性差別を語り、ビスワスは階級差別を語る。 「ジャマイカでは肌の色の濃淡で階級と教育程度が分かってしまう。 それを私はいつも気にしていた・・」。 ・・。 ウォリンジャーは空港の到着ゲートに注目するが、そこに映るのは日常的に見慣れた会社員ばかりで、狙いは理解できるものの強い印象は残らなかった。 それよりも「ハンズワースの歌」に映る英国の港へ到着する移民船の乗客たち、安っぽい背広にネクタイを締めた人々の姿に衝撃を受けた。 彼らの背伸びをした正装で到着ゲートを通る姿に・・。
これまで「世紀末」といえば19世紀末を指すことが多かったが、ようやく20世紀末を描くことができる時代になってきたと感じられた。 英国以外の国々の状況を積み重ねていけば、さらに多様な世紀末の姿が浮かび上がるかもしれない。
気づけば会場に3時間以上 も滞在していた。 映像作品の選択によって鑑賞時間が大きく変わってしまうのだ。 2121デザインサイトで開催中の「デザインの先生」も観る予定だったが、遅くなるため次回に回すことにした。