■ダ・ヴィンチは誰に微笑む ■ロスト・レオナルド、史上最高額で落札された絵画の謎
*以下の□2本の映画を観る.
□ダ・ヴンチは誰に微笑む
■監督:アントワーヌ・ビトキーヌ
■配信,(フランス,2021作)
□ロスト・レオナルド,史上最高額で落札された絵画の謎
■監督アンドレアス・クーフート,出演:ダイアン・モデスティーニ,イブ・ブービエ,エバン・ビアード他■配信,(デンマーク,2021作)
■レオナルド・ダ・ヴィンチ作とされる「サルバトール・ムンディ(救世主)」の真贋や売買の経緯を描いたドキュメンタリー映画を2本観た。 ・・美術商・学芸員・専門家・研究者・評論家・競売会社などの美術関係者に加え、実業家などの入札者が入り乱れ、やがて国家までもが巻き込まれていく・・。
「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」はニュース解説のような構成で事実を淡々と追っていく。 一方、「ロスト・レオナルド」はより捻りをかけて複雑な人間模様や政治的背景にも踏み込んでいる。 果たしてこの絵は本当にダ・ヴィンチの手によるものなのか? その判定は今でも分かれているという。
この「サルバトール・ムンディ」を初めて目にしたとき、脳裏に浮かんだのはイングマル・ベルイマン監督の「沈黙」の一場面だった。 それは、あるモーテルの一室での描写だ。 昏睡状態に近い姉が「ドアの向こうに<あの人>が立っている!」と叫び、乱れる。 しかし妹は否定し「あれは車のライトよ、誰もいない」と答える。 数十年前に観た映画なので台詞は定かではないが、強烈な印象だけは残っている。
キリストの姿はこれまで多くの絵画で目にしてきたが、姉がみた「ドアの向こうに立っていた者」にぴたりと重なるイメージには、これまで出会うことがなかった。 だが、この「サルバトール・ムンディ」を観たとき、その姿がはっきりと結びついたのを覚えている。 ついに、姉の前に<あの人>が現れたのだ!