■AALTO アアルト
■監督:ヴィルピ・スータリ,出演:アルヴァ:アアルト,アイノ・アアルト,エリッサ・マキニエミ他
■配信,(フィンランド,2020年製作)
■数年前、写真美術館で上映した際には見逃してしまったが、ようやく観る機会を得た。 過去の写真と映像を編集しただけのシンプルな構成の映画だ。
アルヴァ・アアルトを語るには、彼と共に仕事をした、妻アイノの存在が欠かせない。 モダニズムの世界で夫婦が共に創作に携わるのは珍しい。
この映画の特長はアルヴァ後半生にも焦点を当てている点だろう。 そこには二番目の妻、エリッサ・マキニエミの存在がみえる。 彼女はアイノに瓜二つだ。 美術展などではアイノが前面に出されることが多いが、この映画では二人の女性を並べて描くことで、アルヴァの真の姿を浮かび上がらせている。
再婚した1952年以降の建築を俯瞰できたことは嬉しい収穫だった。 エリッサ時代のアルヴァは作風が変化したようにみえる。 良い意味で自由奔放になった印象だ。 しかし、利用者からは「贅沢すぎる」「装飾過剰だ」との批判もあったらしい。 とはいえ、この頃の装飾ディテールの面白さは彼の創作の頂点とも言える。
1960年代以降、彼は「保守的な恐竜」と揶揄され、酒にも溺れたという。 アルヴァが亡くなった際「彼は年金生活者だったのか?」と問われ、エリッサが激怒したという逸話も残っている。 二人の女性がいたからこそ、アルヴァは生涯を通じて現役の建築家であり続けることができたと考えられる。
*アルヴァ・アアルト生誕125周年作品
*「ブログ検索🔍」に入れる語句は、アアルト ・・検索結果は6ブログ.