■サーリネンとフィンランドの美しい建築展

■パナソニック汐留美術館,2021.7.3-9.20
■「アイノとアルヴァ展」と比較をするとフィンランド四半世紀の二人の時代差が感じられます。 1873年生まれのサーリネン、1898年生まれアールトの二人が、1917年のロシアからの独立の影響をどれだけ受けたか?です。
今回の展示構成が民族叙事詩「カレワラー」で始まり、次のパリ万国博フィンランド館のナショナル・ロマンティズムで駄目押しをすることでもサーリネンの時代がみえます。
アール・ヌーボーの流れに沿って、どっしりした重みが漂う建物や室内装飾はなんとも言えないリッチな匂いが感じられます。 周囲に石をはめ込んでいる玄関の迫力が只者ではない。 建築に塔が付いているのは伝統でしょうか?
蒲鉾型の正面玄関を持つヘルシンキ中央駅が彼の作品だと今回初めて知りました。 労働者の住宅設計も多いですね。 「椅子は部屋から、部屋は家から、家は環境から、環境は都市計画から」。 彼は言葉通りに仕事を拡大していく。
渡米前後のシカゴ・トリビューン本社案はバットマンが出て来そうなゴシック的上昇感が素晴らしい。 「・・シカゴ派の目指す方向を指している」(ルイス・サリヴァン)。 サーリネンの作品は目が喜びますね。 映像紹介ではフランク・ゲーリーが彼をリスペクトしていたのが印象に残ります。
最期に息子エーロ・サーリネンの、彫刻的曲面が楽しいJFK空港やMIT校舎などの作品が付録として紹介されていました。